食べるなら骨まで

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「・・・あちい」 ベットから転げ落ちて、フローリングに仰向けにだらしなく寝転んだ。 「クーラー買えばいいのに」 隣でくわえていたアイスを口からはずして、彼女は言った。 俺からぶんどった扇風機を自分の顔の前で固定している。 持っている団扇に書かれた涼しげな風鈴の絵をみながら、彼女への返答を考えていたが、 暑すぎてどうでもよくなった。 おれは「あぁ」とどうでもいいような曖昧な返事を返した。 それでも体は涼しさを求めて団扇を動かし続ける。 いつだったか、 団扇は扇ぐ動力によって熱が生まれるから、扇いでもたいした効力を持たないと聞いたことがある。 頭ではそんな事を考えているものの、駄目駄目止まったら暑さで死ぬ、ちょっとでも涼しさを感じろ、と体が欲していた。 ねっころがった時にはひんやりしていたフローリングの床も、今では生暖かい不快な温度を保っていた。
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