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「汐良さん、この後皆で飲み行くんですけど、一緒にどうっすか?」
「あ~ごめんね。今夜は駄目なんだ、先約あって。また誘って、ごめんね。」
申し訳なさそうに目を細め、ふわふわの髪をなびかせて彼女は立ち去っていった。
彼女は滅多に集まりなどに来ない。
いつもバイトが終わると少し団欒し、帰ってしまう。
「汐良ちゃん来れないって?」
「先約があるそうです………。」
汐良と仲の良い、中嶋美奈はにやにやと悪戯っぽく笑いつつ、祐一の背中を叩いた。
「落ち込むな、少年よ!毎度のことよ!」
「絶対…楽しんでるでしょ…美奈さん。」
「あんたが分かりやすすぎなのよ。」
どうやら俺は表情が出やすいらしい。
一番最初にこの人に恋心がばれてしまった。
よりにもよってフラれる度に茶茶をいれてくるタチの悪い相手…。
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