始まり

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 彼女が立ち上がる。 出口へと歩いていく。降りるのか。  なぜだ。なぜ彼女があれを着ている。聞かないと。問い質すべきだ――  強迫観念のように、その思いは頭の中にこだまし、僕はその思考にとり憑かれたようにふらふらと歩き出して、そして気がついた時にはホームに降り立っていた。  まばらな人影の中、彼女の後ろ姿を探し、そして見つける。  僕はゆっくりと歩き出した。しかしすぐさま早足に変わる。  どんどん彼女の後ろ姿が迫ってくると同時に、心臓の鼓動も大きくなる。  やがて彼女の背後に近づくと、無意識のうちに僕は、彼女の肩に、手を掛けた――
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