第一夜 opening

4/6
112人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
中へ入るとそこには、 壁も崩れ 窓も割れ 木も腐り 原形が保たれていない 酷い空虚があった。 「うわ、荒れ果ててるなぁ…」 「こんな所にホントに旅人が泊まったりするのかしら。」 虚しく2人の声のみが響く。 こんな空っぽで荒れている場所に、 本当に旅人が泊まるのか… その疑問ばかりが膨らむ。 前へゆっくり一歩ずつ進んでいる途中、 モアの後ろから突然"ぎゃあ"というチャールズの奇声が聞こえた。 「何!?」 まさか襲われた…!? 慌てて後ろを振り返ると、 チャールズの足元に… 存在感ある可愛らしい姿。 「―なんだ、猫よ。」 ちょっと小太りした三毛猫。 喉をゴロゴロ鳴らしているその姿にモアはひょいっと抱き上げて、つい頬を緩める。 が、平和もつかの間だった。 「…そっちに行ったわ!!」 「はいっ!!」  
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!