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中へ入るとそこには、
壁も崩れ
窓も割れ
木も腐り
原形が保たれていない
酷い空虚があった。
「うわ、荒れ果ててるなぁ…」
「こんな所にホントに旅人が泊まったりするのかしら。」
虚しく2人の声のみが響く。
こんな空っぽで荒れている場所に、
本当に旅人が泊まるのか…
その疑問ばかりが膨らむ。
前へゆっくり一歩ずつ進んでいる途中、
モアの後ろから突然"ぎゃあ"というチャールズの奇声が聞こえた。
「何!?」
まさか襲われた…!?
慌てて後ろを振り返ると、
チャールズの足元に…
存在感ある可愛らしい姿。
「―なんだ、猫よ。」
ちょっと小太りした三毛猫。
喉をゴロゴロ鳴らしているその姿にモアはひょいっと抱き上げて、つい頬を緩める。
が、平和もつかの間だった。
「…そっちに行ったわ!!」
「はいっ!!」
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