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「富士見の娘、
西行妖満開の時、
幽明境を分かつ
その魂、白玉楼中で安らむ様、
西行妖の花を封印しこれを持って結界とする」
そう呟く紫の二つの瞳には、大粒の涙が溜まっていました。
必死に落すまい、と、堪えていました。
「願うなら、
二度と苦しみを味わうことの無い様、
永久に転生することを忘れ...」
そう最後まで呟くことも出来ず、紫の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちました。
一滴、二滴と、幽子の頬に紫の涙が当たっては落ちて、当たっては落ちて。
誰も、紫の涙を止めることが出来ませんでした。
その光景を遠くから見ていた、紫の式神でさえも。
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