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「あー駄目だ。この程度じゃ腹の虫が治まらん」
国の資産とも言うべき領民が犠牲になっているということは、シーグ様のものが奪われたということ。
自分のものが奪われることを何より嫌うシーグ様。その怒りは幽鬼へと向かいます。
「しかし出現も消滅もまるで煙のよう。無駄に噂通りだな。これじゃ根城が掴めん」
今回はシーグ様の提唱した非難マニュアルのおかげで、被害は最小限とも言える程に抑えられました。協力してくれた警団の方々に感謝です。日々シーグ様のわがままを聞いてもらっているのが申し訳ないです。
大国以外で幽鬼に襲われた街や村は、まともな抵抗すら出来ず滅んでしまうほどで、それを考えれば今回は誉められる程の結果です。
しかしシーグ様は満足出来なかったみたいで……
「仕方ない。疲れるけど、ちょっと本気をだすか」
その頃にはシーグ様が作り出した光の雨も止み、街中に幽鬼の姿は見当たらなくなっていました。私は先程から冥福を祈っていた屍から目を逸らし、シーグ様へと向き直ります。
「何をするおつもりですか?」
「俺様の天才的な頭脳によればな、幽鬼なんて生き物は存在しないんじゃないかと思うんだ」
存在しない?ならこの悲劇は幻だとでも言うのでしょうか?
「分かんねえって顔してるな。この愚図め」
失礼な。私はムスッとした顔で頬を膨らませると説明を促します。
「つまりだな生物ってのは皆大なり小なり魔導に耐性を持ってるもんなんだ。幽霊族が魔導に弱いのはその為。しかし幽鬼はそれ以上に魔導に耐性が無かった。それこそ魔導に変換する前の魔力に触れただけで消滅する程にな」
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