第2話 ある領主の怒りと、心優しき奴隷達

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「シーグ様、敵の人相書を作成しますので正確に人相を教えて下さい」 シーグ様が倒れてしまう前に敵の姿を把握してしまおうと、私は店にあった紙とペンを拝借し、シーグ様に敵の特徴を尋ねます。 「そんな必要ない。悪魔だと言ったろ」 「悪魔のような人相と言いましても強面の人間は沢山ーー 「人間じゃない。"悪魔"だ」 ーーえ?」 思わず手にしたペンを落としてしまいます。 「えええええ!?」 まさかの本物?信じられません。えらいこっちゃです。 「そんな悪魔だなんて……」 悪魔なんて空想の産物だと思っていました。すでに人間がどうこう出来る話ではないのでは? 「安心しろ。他のは知らんが、俺様の見た二匹の悪魔は俺様の足下にも及ばないほど弱かった。それに片方の奴は寝小便の常習犯という過去も持っている」 ……悪魔もおねしょするんですね。 「だからパパっと行ってパパっと捕まえてくる。その後悪魔も泣き出す地獄の拷問にかけてくれるわ」 「そんな!無茶ですよ」 口調こそいつものままですが、先程から抱えてる頭は高熱を持ち、意識を保つのもつらい筈。 「以前も倒れてしまわれたじゃないですか!?そのまま行くなんて無謀すぎます」 「無謀だと?奴隷の分際で俺様を見下すなどいい度胸だ。光の速さで成長する俺様は既に以前の俺様とは別人。この程度屁でもないわ」 そう言うとシーグ様はよろよろとした足取りで店の外に出て行ってしまいます。慌ててその後を追う私。
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