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「うん、よし分かった。良く考えたらお前に聴く必要はないんだよな」
そんな中、一人うんうんと頷きながら突然明るい口調になるシーグ様。あまりの怒りに逆に冷静になってしまったのでしょうか?
一人目立っていた魔族の傍らで、黙って私達を取り囲んでいた魔族達をぐるりと見渡しながらシーグ様はさらに言います。
「周りにはお前以外にも魔族が沢山いるみたいだしよ、情報はこいつらに聴くわ。……だからさ
お前はもう死んどけ」
光属性、弐拾弐の魔導書。『剣』
シーグ様の言葉と共に現れしは光の大剣。まるで伝説の中に登場するようなそれを片手で持ち、威風堂々と敵を威圧するシーグ様。
「……それが三界に伝わる魔導というものか。そういえばガイの奴が魔導で槍を造り出せたと喜んでいたな。もっともそれとは別次元のようだが」
暴風の如き威圧感に、流石の魔族も動揺を隠せない様子。先程までシーグ様のことを家畜と罵っていた彼の姿はもうそこにありませんでした。
「そのガイって奴はお前の仲間かい?」
「……ああ、奴は私の盟友だ」
シーグ様の突然の質問に警戒を解くことなく答える魔族。
「くすっ、残念だったな。その盟友さんは俺様の前で何も出来ずに倒れ伏した。今頃は俺様の部下に拷問を受けている。
てかこのゲートから俺様達が出てきた時点で気付けないもんかね?お前さんの盟友は三界の家畜に負けた屑だってことによ」
最早どちらが悪役か分からなくなるようなことを言うシーグ様。剣から迸る聖なる光も、シーグ様の邪悪な笑みを下から照らす役割と成り下がり、とても可哀想です。
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