1239人が本棚に入れています
本棚に追加
「き、貴様あああ!」
「レイグ様!!」
そのシーグ様のあまりの暴言に逆上した魔族は、背に生やす蝙蝠のような翼を広げ、猛烈な勢いでシーグ様へと駆け出しました。しかもその手には明らかに異常と判る程の魔力を込めています。私達を取り囲んでいた魔族達が巻き添えを恐れてか制止の声をあげるも、その勢いを止めることは出来ませんでした。
そして当然最も危険なのは魔族が恐れる程の魔力を正面から向けられるシーグ様。
の隣にいる私。
やべーこれ死にました。
怒りに我を忘れているのか、天使とまで呼んだ私を気にすることなく迫る魔族。辺りの魔族は既に背を向け全速力の逃走を開始していました。こいつらいい根性してます。きっと長生きするでしょう。
「死いいいねえええ!」
最初に持った紳士のイメージなど微塵も残さない、まさしく悪魔の如き形相でシーグ様に襲い掛かる魔族。ガイという魔族はそれほどまでに大切な友達だったのでしょう。
「勿体ないな。それ程までの魔力」
ですが。
「女の子だったらよかったのになあああ!」
シーグ様の前で"技"のない力など、落ちてる石と同じ。当たる訳がありません。
「なっ!何……」
シーグ様の一線。自分よりも力の弱いものは何の抵抗もなく切り裂くことのできる『剣』の前に崩れ落ちる魔族。
掛け声が酷くみっともなかったのは聞かなかったことにして、とりあえず私の命は救われました。
「あれだけの魔力を持った悪魔っ娘なら、きっとプライドが高いに違いない。くっくっく、崩すのが楽しみだ。ああ早く雌が現れないかな?」
最初のコメントを投稿しよう!