第4話 ある領主の横暴と、恐れ戦く奴隷達

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自分の後ろ、上半身と下半身を切り離された魔族に一瞥をくれることもなく、シーグ様はご自分の理想へと向かいます。 「さて、一匹捕まえるか」 光属性、壱の魔導書。『縄』 かつて私を苦しめた(性的な意味で)忌まわしき術を持って、今尚逃げ続ける魔族達の一人を捕獲するシーグ様。 「よし、正直に答えろよ?こいつみたいになりたくなかったらな」 『縄』に縛られ、抵抗が無意味と悟ったのか大人しくシーグ様の前へと引きずり戻された魔族は、親指で背後に転がる死体を指さしながら言うシーグ様に恐怖の色を浮かべ、必死で首を縦に振りました。 「先ずはこの世界の情勢を-ー」 それからはシーグ様が質問し、捕らえられた魔族がビクビクしながら答えるという光景が繰り返されました。 それにより分かったこと、それはこの世界の最高権力者は十人いること。世界は十三あり、ここは魔界である四界であること。一界と二界を除く十の世界を最高権力者十人がそれぞれ担当し、侵略していたこと。そのうち三つの世界を既に四界が征服していたということでした。 「最後に聞く、雌はどこだ?」 ……まあ、最初に聞かなかっただけ自制出来た方でしょう。 「はぁ、雌ですか?ここはレイグ様が治めていたレイグ領ですから、街の方へ行けばいると思いますよ」 ちらりと屍となったレイグを見て、治めていたと過去形で言う魔族。そんな魔族にシーグ様は満面の笑みで頷きます。 「ふむ、つまりこの世界の主な首都は十人の最高権力者が治める街、全部で十個なんだな?それを全て落とせば悪魔っ娘は全て俺様のもんになるんだな?」 「は、はぁ……」
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