第4話 ある領主の横暴と、恐れ戦く奴隷達

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いまいちシーグ様が何を聞きたいのか理解出来ない様子の魔族。その気持ちはよく分かります。 「聞いた話じゃ俺様はガイとレイグ、既に二匹の最高権力者を倒してる。あの弱さで最高権力者とは笑わせるが、ことがすんなり運ぶのは喜ばしいこと。この勢いで残る八匹の最高権力者も打ち取ってやる」 くくっ、と笑うシーグ様に恐怖の色を深める魔族。 「しかし俺様が四界を征服したら、四界、そして四界が征服していた三つの世界。それら全てのが俺様のもんになるのか……」 そこでふと動きを止めるシーグ様。 「……うん、よし。四界を征服した暁には、四界に征服されていた三つの世界を返してやろう。俺様の理想に世界征服は含まれていないしな。フェルナンデス公国だけで手一杯なのに、さらに四界の統治も始まる。それなら世界を返して貸しを作った方がいいだろう」 考えが纏まったのか、シーグ様は縛っていた魔族を解放するととてもいい顔で言いました。 「政務が残ってるんだ。あまり長く家を空ける訳にはいかない。奴隷達では決められない案件などもある。今日中に終わらすぞ。 おい魔族、死にたくなかったら俺様に協力しな。なあに安心しろ。四界を征服した暁にはお前にいい席を用意してやるからよ」 シーグ様の言葉に魔族は引きつった笑みで頷くしかありませんでした。 そしてこう思った筈です。 この悪魔!と。
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