第5話 ある領主の感動と、死ぬ気で働く奴隷達

2/10
前へ
/88ページ
次へ
最近巷を騒がせていた幽鬼という存在がいた。奴らはあろうことか俺様の領地にまで侵入し、そして俺様の領民に手を出した。 これほどまでの怒りは、最近ではちょっと身に覚えがない。 何せ奴らは俺様のものに手を出したのだから。 俺様は無駄なものを欲しがらない。全ては理想の為に必要なもの。つまるところ奴らは俺様の理想に手を出したということだ。 ああ、勿論キレたね。反動の辛いフェルナンデスの魔導書まで使って俺様はキレた。 本気で奴らを根絶やしにしようと、『月の瞳』で色々探ると、案の定裏でこそこそやってる奴がいた。 ソッコー捕まえて拷問にかけた。 素質だけ見れば俺様以外の人間が太刀打ち出来るような奴じゃなかったが、剣を持たない剣の達人と言うか、男のいない世界の美女と言うか、何とも勿体無い奴だった。 人間以外の異種族で魔力を持つ種を総じて魔族と言う。その観点から見れば奴は間違いなく魔族。しかし見た目は絵本なんかに出てくる悪魔。だから俺様はこいつのことを悪魔族という分類にした。勝手に。いや俺様が決めた時点でそれが世界の常識となる為、常識的に奴は悪魔族ということになった。 奴を捕らえた俺様は、ちょちょいと奴の心をへし折ると、奴の持っていた異世界へのゲートを開く魔導具で奴の世界へと旅立った。 目的はただ一つ、異世界の女の子。当初は復讐が目的だったが、主犯は捕らえてチャッピーの餌にしてやったし、お偉方だけ殺して後は俺様のものにしてやることにした。 異世界に着いた俺様の前に現れたのは、お偉方の一匹。雌だったら寛大な心をもって奴隷候補にしてやったが、そいつは雄だった。畜生。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1239人が本棚に入れています
本棚に追加