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「仕方ない。少しだけ遊んでやろう」
はふぅと嘆息し、主従が逆転したかのように言うマリアはシーグ様に投げ返した剣を奪いとると、中庭へと歩きだしました。
ピクピクと怒りに震えるシーグ様。これは少しマズいかもしれません。
シーグ様は勢いよく立ち上がるとズカズカと中庭へ向かいます。慌ててその後を追う私。
「調教してやる。完膚なきまでに再調教してやる」
不吉なことを呟きながらマリアの後を追うシーグ様。
屋敷自体が広大なため、必然中庭も広くなります。中庭には様々な鑑賞植物が植えられ、テラスや体を動かせる広いスペースなどがあります。
しかし中庭にたどり着いた私達が見たのはそれらのみ。いつもと変わらない光景の中にマリアは見当たりませんでした。
「あれ?マリア?」
途中で抜いてしまった?いや、それはないだろう。ではマリアが道を間違えた?初期に奴隷になったシングル(一桁)No.のマリアが今更道を間違えるとも思えない。私がそう考えていると。
「懐かしいな」
シーグ様がポツリと呟きました。
懐かしい?そこで私はハッとします。
マリアは当初シーグ様を狙う暗殺者でした。例え相手がどんな素性だろうと、可愛い女の子なら奴隷にしようとするシーグ様に返り討ちにされ、調きょ……説得されたマリアは、そうしてシーグ様の奴隷になったのです。
思えば最初の出会いもこんな感じでしたね。
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