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そのシーグ様の声を聞いた瞬間、マリアの体が消えました。
触手に服を脱がされまいと必死で抵抗しながら私は辺りを見渡します。てかもう触手を消してもいいじゃないですか!
「上を見てみろ」
シーグ様の声に反射的に上を見ると、そこには光で作られた格子に捕らわれているマリアの姿。
光属性、弐の魔導書。『檻』
上空に光の檻を形成し、その真下のポイントに対象が踏み込んだ瞬間、ポイントと檻の中を入れ替える術。
ちなみに無駄に私に使っている光の触手は、光属性、壱の魔導書。『縄』どちらも低級な魔導書に書かれている術です。
「さあマリア、観念しろ」
マリアは特になんの抵抗もせず光の檻の中で佇んでいます。
「なあシーグ?」
「様をつけろ。……何だ?」
吹き抜けの中庭。マリアの捕らわれている位置はギリギリ屋敷の屋根より高い位置。
「早速移民が来たようだぞ」
その位置からは屋敷の外が見えるようで、マリアは遥か彼方を眺めながら言いました。
「何!?早すぎる。昨日発令したばかりの法だぞ?」
「それだけ異種族の地位が危ういんだろ」
フェルナンデスの屋敷は領地を守るように国境の側にあります。よって移民が来るとすれば必ずフェルナンデスの屋敷の側を通ることになります。
「いいのか?エルフや猫耳娘だったら、国境警備の奴らに盗られるぞ?」
異種族の地位はそれだけ危ういのです。いくらシーグ様の法とて守らない者など大勢いますから……
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