暗き深淵の微睡みで

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『それ』は考えた。 恐らく、自分を認識してから初めての『苦悩』だったであろう。 『それ』は考えに考えた末、『意識を持つモノ』たちの石に、一定の期間毎に降り立つ事を決めた。 これなら知識が忘れ去られる事は無いと考えたのだ。 試しに知識を能え、間を開けてまた知識を能えた。 前回の知識がまだ残っている事を確認し、『それ』は『安堵』した。 しかし、繰り返すうちに『それ』が能えた知識は薄れて行き、また、『それ』の声も届きづらくなる。 石の終わりが迫った頃には、誰も『それ』を認識出来なくなってしまい、結果、石と共に爆発。 それが一度や二度ならず、全ての石で起きるのだ。 『意識』は確実に近付いて来ているのに、『意識を持つモノ』たちは、『それ』から遠ざかる。 『それ』の試みは、失敗に終わった…… ・
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