50人が本棚に入れています
本棚に追加
『それ』は考えた。
恐らく、自分を認識してから初めての『苦悩』だったであろう。
『それ』は考えに考えた末、『意識を持つモノ』たちの石に、一定の期間毎に降り立つ事を決めた。
これなら知識が忘れ去られる事は無いと考えたのだ。
試しに知識を能え、間を開けてまた知識を能えた。
前回の知識がまだ残っている事を確認し、『それ』は『安堵』した。
しかし、繰り返すうちに『それ』が能えた知識は薄れて行き、また、『それ』の声も届きづらくなる。
石の終わりが迫った頃には、誰も『それ』を認識出来なくなってしまい、結果、石と共に爆発。
それが一度や二度ならず、全ての石で起きるのだ。
『意識』は確実に近付いて来ているのに、『意識を持つモノ』たちは、『それ』から遠ざかる。
『それ』の試みは、失敗に終わった……
・
最初のコメントを投稿しよう!