─青い空に─

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暖かくなり、草木は生えてくる頃 君は危険な状況になっていた 酸素を取り得ながら、呼吸する 俺はただただ 手を握りしめ、祈る事しか出来なかった 「無事に帰ってきてくれ… お願いだ…」 涙を流す ただ流れるだけの涙 涙を流す事しかできない自分を呪う 君の家族も涙を流していた すると君は目を覚ました 『…? ハア…、居るの…?』 「ああ! 居るよ! 良かった…」 『…あのね ハア… 聞いて…』 「喋らなくて良いよ また悪くなるからさ」 『どうして…も… 聞い…て…欲し…い』 「何を? あとで聞けば……」 俺は気付いた 気付いてしまった 君の終わりを… だから、必死に伝えようとしている だから… 「わかっ…た」 聞こう… 君の声を… 『あり…が…とう…』 「ああ…」 『好き…だったよ… 貴方…の事… 大好き…だよ…』 「ああ… 俺も大好きだ…」 『ありが…とう… 貴方…と…もう一度… 空…見たかったな…』 「ああ… 俺も君と青い空見たかった…」 『ごめん…ね… 私を…忘れて… 幸せに…なってね…』 「待っ…」 ピィ──── 君はこの青い大空に旅立った ──*── あれから7年… 俺は医者になり、一生懸命働いている 彼女は居ない… まだまだ君の事は忘れそうになかった 俺は今日も君が旅立った青い大空を見て 人を救っている 君は俺の事見ているのかな? まだまだだけど 良い医者になるから 君は青い大空から見ててくれ           ーENDー
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