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「「……?」」
顔を見合わせ昌浩と物の怪は首を傾げる。
「なんだ、昌浩にはまだ何も言ってないのか」
不意に聞こえてきた声に六合は固まる。
「勾陣?……天一、天后まで……どうしたんだ?」
「まぁ、説明は後だ。とりあえずコレに着替えろ」
と渡されたのは──……
「…っ?! これって女物の着物じゃないか!!何で俺が!?」
「ほら、お前たちは外に出ろ。邪魔だ」
勾陣は昌浩の言葉を無視し、物の怪と六合を部屋から追い出す。
「えッ……ちょっ!…ヤだ置いてかないでよ、もっくん!彩輝!」
後ろで昌浩の悲鳴が聞こえるなか、二人は心の中で昌浩に謝りながら無視を決め込んだ。
女神将には逆らってはいけない……。いつの間にか男神将の間にだけ広まった鉄則なのだった。
「いぃーーやーだああぁぁぁー!」
「昌浩、大人しくしていろ!着物が破けたらどうする」
「昌浩、あまり動かないで紅が塗れないでしょ」
「昌浩様、髪飾りも用意いたしましたの。どれがよろしいかしら?」
昌浩の悲鳴と共に女神将達の楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
「………何か、あったのか?」
普段はあまり顔も見せない青龍が、昌浩のただならぬ悲鳴を聞きつけ顕現した。
「「………いや……」」
六合と物の怪がどう説明していいものか迷った時だった、いつの間にか昌浩の悲鳴が聞こえなくなり、代わりに勾陣の呼ぶ声が聞こえた。
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