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「…………………………は?」
晴明の部屋へと入って行くとソコには数人の神将達が居た。散々、朱雀と太陰にからかわれ昌浩は耐えきれず、そうそうに話を切りだした。
――しかし、その内容は耳を疑う物で昌浩は再度、晴明に聞き直した。
「…じい様?今、なんて仰いましたか?」
「うん?何じゃ、耳が遠くなったのか?そりゃいかんのう…」
「そんな戯言はいいからなんて仰いましたか?じい様」
薄く微笑む顔が怖い。
「………だ…だからの、今日の夜警はその格好のまま行きなさい、と言ったんじゃが?」
「……ッ…何で俺なんですか!?しかも、何でこの格好でっ!」
昌浩が潤んだ瞳で、晴明を上目遣いで見る。その行動が若菜を連想させて思わず心が痛むが、そこは狸な晴明、長年の強靭な精神で何とか乗り越えた。
「お前がやらないと、また貴族の姫達の中に犠牲が出るぞ?……それとも、姫達が襲われるのを待つつもりか?」
「…ッ!…分かりました、やればいいんでしょ!やれば!!」
昌浩は怒り、バタバタと自分の部屋に帰っていった。それを追おうとした 物の怪達を晴明が呼び止める。
「今日の夜警はお前達三人で昌浩を守れ。絶対に傍から離れるでないぞ」
先ほどまでの、飄々とした態度が一変して大陰陽師としての、彼らの主としての顔になる。
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