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涙が溢れる。こんなにも一人が怖いなんて思いもしなかった。
『俺がいる。お前の傍から誰一人、居なくなったとしても、俺はお前の傍にいるから』
優しく微笑む男。その優しい声は …名を呼んでいる声は、 懐かしく感じ不安でいっぱいだった昌浩の心を安心させる。
ギュッと昌浩は男の背に手を回し抱きしめた、離さないように…。
消えてしまわないように……。
男の体躯は紅蓮とかわらず昌浩の身体をスッポリとおさめる。
「………本当、に?」
『ああ、ずっと…傍にいる。だから、もう泣かなくていい』
「…うん」
不安げな表情だった昌浩の顔に笑みが戻ったのを見て、また青年も嬉しそうに微笑み昌浩を抱きしめた。
青年の抱く腕に力が入る。
『…………ずっと、側にいる。……だから、 ?』
「…え?」
青年の震える声。見上げた先にあったのは……哀しみに揺れる瞳。悲痛な表情。
『俺だけを……』
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