115人が本棚に入れています
本棚に追加
「……御免なさい……先生………ウサギ逃げちゃった………一匹遠くに逃げちゃった………。」
私はガタガタ震えながら言った。
先生達は顔を見合わせた。
「……た……多分ウサギは見つかるから、先生達も探すから。ね?」
決して見つからない。何故ならウサギはもう一樹が殺してしまったから。私は吐き気を我慢できず、その場に嘔吐してしまった。
「松浦さん大丈夫?!松浦さん?!」
先生達は慌ただしく私を囲む。
「先生……御免なさい。本当御免なさい……。」
私はそれしか言えなかった。
何よりも、嘘を吐いた事の方が辛かった。
自分を責めている訳ではない。ただ、苦しいだけなのだ。
それから、先生に見送られながら帰路についた。
一樹の家につく迄ずっと、私は泣いていた。
ずっとずっと泣いていた。
大雨はまるで私の泣き声を掻き消してくれる様だった。
一樹の住むアパートの前について、一樹住む部屋らしき所のインターホンをならした。
ドアが開いて何故か金色に近い茶髪で肩に龍の刺青が入った細い男が上半身裸の状態で出てきた。
「……こんにちは。」
私は泣くのをやめて凍り付く。
すると男は何故かにっこりと笑った。
「一樹の友達?一樹ちょっと待っててね。」
最初のコメントを投稿しよう!