Ⅴ.混沌

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ウサギを殺した日の夕方、雨に濡れすぎた所為で案の定風邪を引き、私は土日含めて三日間という期間寝込んでいた。 私の風邪が少し良くなり、学校に戻ってから二日間の間に一樹は一切登校しなかった。   二日間目のホームルームの後、担任が私に話し掛けてきた。 「松浦、お願い事があるんだ。」 先生が私の腕を掴む。 「何ですか先生?」 先生は私に何枚かプリントを差し出す。 「確かお前の家の近くが小澤の家なんだよな?小澤の家にこれ、届けてやってくれないか?」 私はそのプリントを受け取ってこくりと頷いた。 プリントをランドセルに入れて教室から出た。 その時、武と目があった。武は何も言わずさっさと歩いていった。 武と私ははあの日から何故か気まずくて口をきかなくなっていた。 私と武は一切口をきかず別々に学校を後にした。 帰り際、ウサギ騒動の時、とても私を宥めてくれた先生が飼育小屋を見つめていた。すると先生が私に気付き、手を振ってくれた。 「歩香ちゃん!!ウサギ見つかったわよ!!」 先生は満面の笑顔で笑う。 私は急にゾッとして慌てて飼育小屋の方へ向かった。
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