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ウサギを殺した日の夕方、雨に濡れすぎた所為で案の定風邪を引き、私は土日含めて三日間という期間寝込んでいた。
私の風邪が少し良くなり、学校に戻ってから二日間の間に一樹は一切登校しなかった。
二日間目のホームルームの後、担任が私に話し掛けてきた。
「松浦、お願い事があるんだ。」
先生が私の腕を掴む。
「何ですか先生?」
先生は私に何枚かプリントを差し出す。
「確かお前の家の近くが小澤の家なんだよな?小澤の家にこれ、届けてやってくれないか?」
私はそのプリントを受け取ってこくりと頷いた。
プリントをランドセルに入れて教室から出た。
その時、武と目があった。武は何も言わずさっさと歩いていった。
武と私ははあの日から何故か気まずくて口をきかなくなっていた。
私と武は一切口をきかず別々に学校を後にした。
帰り際、ウサギ騒動の時、とても私を宥めてくれた先生が飼育小屋を見つめていた。すると先生が私に気付き、手を振ってくれた。
「歩香ちゃん!!ウサギ見つかったわよ!!」
先生は満面の笑顔で笑う。
私は急にゾッとして慌てて飼育小屋の方へ向かった。
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