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「ほら、ちゃんと居るでしょう?」
其処には殺したウサギにそっくりなウサギが居た。
きっと先生は代わりのウサギを買ってきたのだ。
「………はい先生。」
私は笑った。満面の笑顔で。
そして大人は馬鹿で子供が無邪気であると思いこんでいる事に気付いた。
一樹に話したい事が出来て私は何故か嬉しくなった。
大人の馬鹿さ加減をお互いに話して笑い合いたかった。その心が私の背中を押して、私は一樹の家へ駆け足で向かっていた。
私はアパートの前に行き、一樹の住む部屋へと向かった。
「小澤」と書いてあるプレートが貼られたドアの前に行った時、何故か妙な話し声と物音がした。
私はそれをさすがに異常に思い、耳を傾けた。
「拓也さん……本当もう……辛いです……嫌です……。………痛い。」
一樹の声がした。
少し泣き声混じりで苦しそうな感じがした。
私は急に心配になり、胸騒ぎを押さえられなくなって部屋の状態を確認する事にした。
ドアを捻ると鍵が閉まっていなかった。
私は部屋の状態を確認出来る位の細い隙間を開けてそっと中を覗いた。
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