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「歩香ちゃんは動物好きなんだねぇ。あのさ……こっそりウサギさん抱っこさせてくれないかなぁ??」
唯ちゃんは恥ずかしそうに笑う。
「いいよ!!入って来なよ!!」
私は笑顔で唯ちゃんの手を引いた。
唯ちゃんと私は小学一年生からずっと同じクラスにいた。
だからずっと仲良くしていた。そんな唯ちゃんにも私の中にある欲望の話は一切してはいなかった。
「ねぇ、そういえばね、ウチのクラスに転校生が来るみたいだよ。先生がバタバタしながら机の用意してたよ。」
唯ちゃんが言う。
「へぇ、そうなんだ。どんな子が来るんだろうね?」
私は唯ちゃんに笑い掛けた。
「やさしい子だといいね。」
唯ちゃんはそういって笑った。
飼育小屋から出て、私は職員室に飼育小屋の鍵を置きに行った。
悪戯防止の為、飼育小屋には厳重な鍵の装備がされている。
だから朝の掃除と餌やりが終わると必ず職員室まで鍵を置きに行くのだ。
職員室は二階にある。
一階は一年・二年の教室、二階は三年・四年の教室、三階は五年・六年の教室と言う風に設置されている。
つまりどこの学年で事件が起きても直ぐにトンでいける場所に教室が設置されている訳だ。
二階へ向かう階段を上がっているときつい香水のニオイがした。
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