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(何だろう…このニオイ。)
自棄に甘ったるいニオイが階段に匂っていた。上に向かえば向かう程ニオイがきつくなる。
香水のイメージは良い香りをつけるモノだと思っていた。けれど今、階段から匂っているものは明らかに「臭い」という文字が当てはめられる。
ひどく臭う。
上に行けば行く程。職員室前まで階段を登りきるとそこに化粧のきつい女が立っていた。
服装も何処となく露出目であり、夜の仕事をしているのは一目瞭然だった。
(この人、場所間違えてんじゃないかな??)
私は少し警戒しながらも軽く会釈をして職員室に入った。
「失礼します。飼育小屋の鍵、置きに来ました。」
私はドアを開けて言う。
すると担任の先生が色白の細い女の子と話をしていた。
「おお、松浦!!良いトコに来たな!!」
先生は私の肩を軽く叩く。
「どうしました?」
私はいつもの通り作り笑顔を浮かべる。
「実はな、ウチのクラスに転校生が来ることになったんだ。」
先生は満面の笑みを浮かべている。
「あ、唯ちゃんから聞いてますよ。」
私は笑う。
「ああ、じゃあ話が早いな。この子に後で学校内の案内お願いできるか??」
「え、別に良いですけど、学級委員は?」
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