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「いや、遠慮させてもらおう。そのボディをどれだけ蹴ったところで時間の無駄だ。他の手を使わせてもらう」
レミーは口元に不敵な笑みを浮かべたままそう答えながらも、額に冷や汗を滲ませていた。
(それに厄介なのは頑丈なボディだけではない。あのスピード……体格を見たところ奴の体重はゆうに100キロを超えているはずだが、とても重量級とは思えない程の俊敏性だ。あんなスピードで距離を詰められて、高威力の打撃満載のコンビネーションを叩き込まれるのは、実に厄介だ)
一方、クリフトも口元に不敵な笑みを浮かべたまま、額に冷や汗を滲ませていた。
(奴の得意技はエルボーだけじゃない。あのローキックも十分な脅威だ。体の回転と体重移動の慣性を利用して鞭の様に放たれるムエタイの蹴りは、速い上に重い。あんな蹴りをケツに食らうのもとんだクレイジーだが、頭に食らえば冗談じゃ済まん。何としても奴のハイキックだけはガードせねばならん……)
レミーは再び左足を前に出して、両拳を目線の高さに構えた。
「さあ、お喋りはこの辺にしておこう。今度は私の番だ」
クリフトも左足を前に出し、両拳を顎の前で構える。
「良いぞ!かかってこい!早く続きをやろうじゃないか!」
「フン、貴様とはつくづく馬が合う。敵同士なのが実に残念だ。行くぞ!」
「おうよ!」
レミーとクリフトは同時に地面を蹴り、互いに襲いかかる様に突進した。
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