22人が本棚に入れています
本棚に追加
「手始めに生徒会長になって、校則を俺に有利なようにかえる。そして生徒を統制して、俺に毎日違うネクタイを上納させるんだ」
……あ、馬鹿なんだ、この人。
真剣な顔をして話す先輩とは反対に、僕のほうは笑えてきた。ふざけているのかと思ったが、その目には強い光が宿っている。
「なんでネクタイなんですか……」
「俺はネクタイフェチなんだ」
「……気持ち悪いんですが」
「そうか?」
先輩が突然立ち上がった。フェンスがまた激しく揺れて、僕もまた縮こまった。
空になった弁当箱を床に放り投げ、弱々しいフェンスをがっしりと掴む。揺れるフェンスを見ていると、冷や汗が出るからやめてほしい。
「俺と一緒に学校を征服しよう」
「え、僕ですか」
「この話をして、呆れなかったのは君だけだ」
「そうなんですか……」
……そうだとしたら、相当不名誉なんだが。逃げることもできず、阿呆なことを本気で考えている先輩をヒキめに見た。
だから、と先輩は続ける。
「自殺なんてやめて、副会長になろう」
最初のコメントを投稿しよう!