~第六話~   目に見えぬ、六道の世も曼珠沙華

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 からかう様な嘲りを含んだ声が、潜助の耳元で聞こえる。  すぐさまに振り向くも、影も形も無い。 「飽きて来たね……!? そろそろ、本気で仕舞にしようか……!?」  散々弄ばれた挙げ句、姿の見えない暗殺者に潜助の緊張の糸は張り詰めっ放し。 「い、いい加減に……!? す、姿を見せたらどないや……!?」  荒い息もそこそこに、辺りを見回す。 「そんなにアタシを見たいかい……!? なら、見せてやるよ……!!」  突如闇を貫き、龍舌蘭の縄が首に巻き付く。  普段なら首に巻き付くだけだが、今回は右手首にも巻き付いた。  そのまま急角度で持ち上がり、地面から二尺程の位置で宙吊りになる。 「どうだい……!? 利き腕ごと吊り上げられた気分は……!?」  右腕を動かせば、縄がやや緩むものの。  根本的な解決にはならない。 「まだ、終わりじゃ無いンだよ……!!」  腰の矢立を抜き、腕と首を目掛けて水を掛ける。  どうも武闘扇子の縁には刃が仕込んで有るらしく、縄を切ろうと四苦八苦している潜助に水が頭から掛かった。  途端に、急激な収縮が発生し潜助の右手首と首を同時に締め上げる。  骨の軋む音が鳴り、潜助はもがき始めた。

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