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「ち、違うんです!……違わないですけど…、違うんですっ!」
「いや、別にお兄さんは人の趣味にとやかく言うつもりはないんだが……」
「み、見ました……か?」
「少し……好奇心が沸いてな……」
両者が互いにやってしまった…、というように頭を抑える。
とりあえず、この空気を破るため、先に声を上げたのはゆめりだった。
「その、き、気持ち悪い……ですよね…?女性がこんな本を読むのは…」
「人の愛情はまだ良く分からんが……、どんな愛情にしろ、互いに幸せそうならどんなカップルでもいいんじゃないか…?」
と、お兄さんは思うぞ。
そう言ってちょっとやけくそになった様に悠也は胸を張って見せた。
「……えっと、つまり…?」
「ようはその本も普通の愛情をつづった本だ。そんな本を読んだ所で気持ち悪いはずがないな」
「………………」
このくらい言えば大丈夫か?と悠也が心配そうにゆめりを見ると、本人はその目をキラキラと輝かせていた。
しまった。
悠也がそう思うまで、時間はいらなかった。
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