あの時のプロローグ

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『留守番メッセージを一件、再生しました』 ぷつっとメッセージが切れる音。 聞き終わると同時に、部屋の隅で体育座りをするメリーに目を向ける。 「……なんで私がいる時に聞くのさ…」 恥ずかしいのだろう、後ろから見ている和馬でさえも気づけるほどに、メリーは首筋まで真っ赤に染めていた。 「……むぅ…」 電話を見続けてうなる美穂。 負けられない。 そう思っていた。 「な、なんというか…、すまん」 「別に、いいけどさ……」 すっくと立ち上がり、部屋を見渡すメリー。 「変わってないね…」 「布団、買っておいたからもう合体布団はないけどな」 「え?」 「狭かっただろ?」 「…………それが良かったのに…」 ぽそりと呟いて、メリーはまた座り、いじける。 美穂は唸り続ける。 和馬は、なんとなしに笑顔だった。
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