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「……あれ?」
いっこうに誰も出てくる気配がない。
表札を確認。しっかりと日向の文字があった。
「いないのか…?」
そう言ってドアノブに手を掛けてみる。
すると、容易にドアは開いた。
「鍵掛けてないのか…?」
ドアを一旦開ききって中を見る。
その瞬間、和馬は目を疑った。
「美羽?」
玄関の靴置き場より少し奥に、パジャマ姿の美羽が倒れていたからだ。
「お、おじゃまします!」
すぐさま靴を脱いで中へ入る。
美羽の横に跪き、
「美羽?どうしたんだ?」
「ん……和馬君……、こんばんは…」
ゆっくりと開かれた目は、どこかとろんとしていた。
頬も、赤い気がする。
「まさかな……」
ぺと、と美羽の額に手を置く。
家の中は少し肌寒いにもかかわらず、ホッカイロでも当てていたかの様に、美羽の額は熱かった。
「熱があるな……美羽、布団どこだ?」
「……ん…」
ゆっくりと階段の上を指をさす美羽。
和馬は美羽を背負って、一歩ずつ登っていった。
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