第一章 一匹狼

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第一章 一匹狼

 レイナは砂漠の中を、地上から数十センチ浮遊するバイクにまたがり疾走していた。 羽織っている、薄汚れたマントの下には拳銃を二丁忍ばせている。同じ腰には短剣が左右に二本携えている。 武器はこれだけあれば、一人で砂漠を渡る装備として申し分ない。あとは渡る勇気があるか無いかだ。  速度計の下にモニターがある。そこに映されたナビゲーションによると、もうすぐ街に着く。  正面に目を凝らした。すると高い壁に囲まれた、尖塔が輝く街が見えた。  ロングゲート市。大陸のほぼ中央にあり、交易の要衝だ。  レイナは壁を見上げた。壁というよりも崖に近かった。外敵を一切寄せ付けない冷淡さが伝わってきた。遠くから見ると円形に見えた街の壁は、今は左右に一直線に伸びているように見えた。 壁に向かって手を振ると、壁の一部が左右に分かれ、スロープが降りてきた。そこをバイクで上っていく。外の明るさに慣れていたので中は漆黒の闇に見えた。  目が慣れてからバイクを徐行させ、停止線で止まりバイクを降りた。街で過ごす間、ここで乗り物を預かってもらう。この施設はどこの街にもあり信用で成り立っている職業だが、盗みを働く者はいない。 どこからか二十代後半と見える男が来た。
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