石版

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 その時だった。 「よう、神谷」  誰かが神谷に近付き、肩を叩く。  神谷が振り向く。すると、そこには見馴れた友人が居た。 「お前か、雅也」  彼の名は梁川 雅也(ヤナガワ マサヤ)神谷の中学校からの友人である。  梁川は、まあ、こちらへ、と神谷を椅子の方に招いた。 「良いのか? こんな時間にこんな所で」 「5分ぐらい大丈夫だろ。しかも俺、まだ独身だし」  神谷は笑顔で近くの椅子に座る。 「いやぁ~しかし、まさかこんな所で会えるとは思ってもなかったよ」  梁川が話し出した。 「こちらこそ」 「神谷は最近、仕事の方はどうなんだ? 結構うまくやってるか?」 「ああ、社長に気に入られてるらしい」 「そっかぁ~昔のお前とは大違いだな」 「ああ、あの時は相当虐められてたからな」  神谷は少し笑いながら言った。
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