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翌日、男は朝早く起き、テントや道具をしまった。
とうとうあの魔境へと挑まなければならない。
彼は段々嫌気がさしてきた。
しかし、もう後戻りは出来ない。後戻りをした瞬間、敗北を意味するからだ。
あの魔境へと足を踏み入れ、真実を掴まないといけない。
何故、砂漠の中に雪山が出来たのか。何故、世界の人口は減りつつあるのか。全てが謎だらけのこの世界の真相を。この、『最後の地』で……
男は歩み出した。一歩一歩、足を滑らさないように。地面は雪で凍っている。靴に付いている大きな滑り止めなんてちっとも役に立たない。
--登っている途中、風が彼を襲う。男は体勢を低くし、止まる。風が吹き止むまで待ち、止んだらまた歩き出す。
この繰り返しだった。
しばらく歩いていると、風が強くなる。吹き飛ばされそうな程、強風になった。立っているのが精一杯って言うぐらい、強い。
だが、これがあの魔境に近付いている証拠だった。
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