石版

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2100年5月27日 「神谷も飲めよ~」  今日、神谷 亮介(カミヤ リョウスケ)は会社の上司のおごりで居酒屋で食事している。  しかし、神谷は酒に弱い。一杯でも呑んでしまうと直ぐに酔ってしまうのだ。 「い、いえ、遠慮しときます」  神谷は肩を少し上げ、顔を斜め下に向けた。 「何だよ~。折角、おごってやってるのに」  上司の坂井 信弘(サカイ ノブヒロ)がいつものダミ声で酒を自分のコップに注ぎながら言う。 「いや、しかしあれだな。あの~お前、社長にかなり気に入られてる様だぞ。出世のチャンスかもな」  神谷の同僚、中河 忠(ナカガワ タダシ)がニヤニヤしながらコップを持っている手で神谷に指差した。  神谷は苦笑いする。 「此処のユッケ旨っ」  社員一食いしん坊な高崎 颯夫(タカザキ ハヤオ)が場の空気等、気にせずユッケを口いっぱいになるまで頬張って言った。  やはり、こういう奴は案の定、太っている。 「ユッケおかわり下さい」  高崎が手を挙げた。 「お前、ユッケどんだけ食うつもりだ?」  中河が高崎に指を差し、ツッコミを入れる。  皆は大声で笑った。
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