出会い

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「…………」 「冗談だよ」  くすくすと、赤目は今日二度目の笑顔を溢した。  不思議と赤目の正体を問いただす気にはなれなかった。親しげに話しながらも、どこか距離を置いた雰囲気を醸していたからかもしれない。 「そこを真っ直ぐ行けば道に出るよ」 「すまないな」 「謝る事はないさ」  何度目かの微笑みを見せて、赤目は一歩前へ出た。 「そうか」 「また会ったら、また来てね」 「会えばな」  そう言ってから鬱蒼とした茂みの中に身を入れて、飛世は山道へと向かった。ちらと振り返れば、赤目が腕を小さく振っていた。それを見て飛世は微笑みを浮かべた。  ――また会ったら、今度は薬の調合法を教えてやろう。  会える確信もなしに、飛世は次の機会を考えていた。
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