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「早くカードを抜け」
真っ黒のスーツを着た男が、少年に命令をする。
少年は機械の首筋にホクロを見つけると、それを押し溜め息を吐いた。
ピッと高くて軽い音がしたかと思えば、背中の真ん中辺りから黄色いカードが飛び出してきた。
男はそのカードを素早くポケットにしまう。
「相変わらず美声ですね…この少女は」
少年はそう言いながら機械を上から下まで一通り眺めた。
「当たり前だ。我が主が十年もかけて作った声だからな」
「でも気味悪いですよ。本物の人間みたいなのに、中は全部機械で出来てるだなんて」
男はそれを聞いて押し黙った。
機械の肩を触り、背中を撫で、呟いた。
「本当に…失踪した俺の娘にそっくりだ」
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