†第一節†

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 リン。  言葉と共に、鈴子様の髪留めの鈴が短く鳴った。  すると、鈴子が頼んだ訳でもないのに少女は静かに語り始めた。 「お母さんが病気なんです。飲んでる薬も効かなくなってきて、すごく苦しそうで……」  次第に激情がはらんできて、少女は今にも泣きそうに顔を歪めた。 「手術もしたんですけど回復が遅くて……。 このままだとお母さんが死んじゃう! お願い、お母さんの病気を治して!」  悲痛な叫びの後、少女はとうとう泣き崩れてしまった。  そんな少女の肩を、鈴子様は優しく叩きそっと微笑んだ。  そして、ショーケースに似た棚の方へ歩を進める。  棚の扉を開き、その中に飾られた膨大な数の鈴をじっくりと吟味していく。  その中からひとつ選んで、取り出したのは深海の色をした青い鈴だった。 「これをずっと身につけていて」  鈴子様は、少女の手にその鈴を握らせる。  手の中にあっても、青い鈴は小さく鳴る。
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