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この日、鈴子様が外出した直後に高校生ぐらいの少年が店を訪れた。
従者である私が、店を訪れた人に鈴を渡すことは禁じられている。
取りあえずカウンターに座らせ、しばらく待ってもらうよう頼んだ。少年は快く了解してくれた。
「紅茶でいいですか?」
「ああ」
私が紅茶を入れている間、ずっと少年は私を眺めていた。その目に好奇の色を含ませ、無言のまま。
「どうぞ」
「ありがと」
何とも言えない雰囲気だ。沈黙が降り積もって、この場を支配しているようだ。
そう言えば、店を訪れた人と二人きりになるのはこれが初めてだ。どうしていいのか分からない。
「店番か?
……偉いな」
やがてこの重苦しい空気に耐え切れなくなったのか、少年がゆっくりと口を開いた。
でも、明らかに子供扱いしているのが感じられる。
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