†第二節†

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 この日、鈴子様が外出した直後に高校生ぐらいの少年が店を訪れた。  従者である私が、店を訪れた人に鈴を渡すことは禁じられている。  取りあえずカウンターに座らせ、しばらく待ってもらうよう頼んだ。少年は快く了解してくれた。 「紅茶でいいですか?」 「ああ」  私が紅茶を入れている間、ずっと少年は私を眺めていた。その目に好奇の色を含ませ、無言のまま。 「どうぞ」 「ありがと」  何とも言えない雰囲気だ。沈黙が降り積もって、この場を支配しているようだ。  そう言えば、店を訪れた人と二人きりになるのはこれが初めてだ。どうしていいのか分からない。 「店番か? ……偉いな」  やがてこの重苦しい空気に耐え切れなくなったのか、少年がゆっくりと口を開いた。  でも、明らかに子供扱いしているのが感じられる。
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