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私が鈴子様の従者となってから、二ヶ月が経った。
二ヶ月と言っても『鈴屋』へ訪れる人は多かった。それだけ、この世界は願いで溢れているのだろう。
そして、鈴子様は願いを持つ人にひとつずつ鈴を渡していった。
「鈴の音を聞いて。その音をどうするかは、あなた自身だから……」
と、言って。
そんな鈴子様は、カウンターで優雅に紅茶を飲んでいる。
鈴子様は高校生らしいけど、この店のために学校へは行っていないらしい。
いつも、ワイシャツにカーディガンを羽織っており、ジーンズに足元は健康サンダル。
レンズの大きい眼鏡を掛けていて、髪を二つに束ねている髪飾りには左右に二つずつ鈴を。
こうしていると、本当に普通の方だ。
「白鈴」
「はい」
鈴子様はティーカップから口を離し、私を呼ぶ。
髪が揺れると、四つの鈴がそれぞれに歌い出す。
「今日も願いを持つ人が扉を見つけたみたい」
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