†第一節†

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 私が鈴子様の従者となってから、二ヶ月が経った。  二ヶ月と言っても『鈴屋』へ訪れる人は多かった。それだけ、この世界は願いで溢れているのだろう。  そして、鈴子様は願いを持つ人にひとつずつ鈴を渡していった。 「鈴の音を聞いて。その音をどうするかは、あなた自身だから……」  と、言って。  そんな鈴子様は、カウンターで優雅に紅茶を飲んでいる。  鈴子様は高校生らしいけど、この店のために学校へは行っていないらしい。  いつも、ワイシャツにカーディガンを羽織っており、ジーンズに足元は健康サンダル。  レンズの大きい眼鏡を掛けていて、髪を二つに束ねている髪飾りには左右に二つずつ鈴を。  こうしていると、本当に普通の方だ。 「白鈴」 「はい」  鈴子様はティーカップから口を離し、私を呼ぶ。  髪が揺れると、四つの鈴がそれぞれに歌い出す。 「今日も願いを持つ人が扉を見つけたみたい」
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