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ほろ苦い
『親友』
その言葉をお前から聞いて違和感を覚えたのは何時からだろう―――?
何時から俺はお前を『親友』として見れなくなったんだろう―――。
┼┼┼┼┼
午後の授業が終わり、帰る支度を途中に俺は、ふと顔を上げた。
窓から広がる景色は茜色に染まり、何処までも朱く広がっていた。
「白石ー!!」
「ん?」
ぼーッと、窓の外を眺めてた俺は後ろから聴こえた声に振り返りながら短く返事をする。
視界に映ったのは先程まで自分と同じ授業を受けていた謙也だった。
「そろそろ帰らなあかん時間やで?早う帰ろ!」
そう言ってニカッと笑う謙也が愛しくて堪らない。
好き、愛してる――。
日々増していくこの想いは心をギュッと締め付ける。
俺の片思いは一生続くんやろなぁ……。
いっそこの気持ちを告げてしまおうか?
何て…思ってみても俺には無理なんやろな…と苦笑する。
告げてしまえば一緒には居られない…。
2人で笑いあうことが出来なくなる。
そんなの俺には堪えられないから、日々増していくこの想いは無理矢理にでも押し込めて隠すことに決めた。
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