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学校を出て二人で横に並びながら歩く歩道。
話してることはいつもとなんら変わらない他愛もない話。
そんな一つ一つが至福に思えてしゃーないのはきっと恋してるから。
だって今も肩を並べてるってだけでドキドキがハンパない。
「あ、なあなあ白石!明日って……」
と、急に思い出したのか話題を変えて振ってきたのは明日行われる小さな祭りのこと。
俺はそれに軽い相槌をうって先を促した。
「その、白石さ…明日誰かと行く予定ってあったりするん?」
「…いや、別にそんなんないけど」
急に言われた言葉に少し間をおき、返事を返す。
無理矢理押し込めた気持ちが揺れて苦しくなった。
「あ、ほんまに?…良かったわ、せやったら…その、俺と一緒に行かへん?」
俯き気味で俺に言う謙也。
その言葉に今度こそ目を見開いて俺は勢いよく謙也の方を向いた。
「ど、どうしてッ」
取り方によっては恋人や想い人をデートに誘うように聞こえる言動。
ハハ、まさか…謙也、が?
何時もよりグルグル回る思考回路。
心の声は期待するな期待するな、なんて期待しそうな俺に警報を鳴らしてる。
(俺は今どないすればええんや…)
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