何よりの…

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季節は冬、もうすぐクリスマスという崩壊前には盛り上がったイベントデーがやってくるらしい。 シンジュクバベルや第三ホームなど、人の住む区域ではその雰囲気を出そうと街頭の樹木に飾りなどしていたりするが、そういうイベントを楽しめるのは裕福な階級の人間だけなのは悪魔であるピクシーも知っている。 主人であり、相棒である亮も決して裕福な階級の出ではない。 しかし、DB(デビルバスター)を生業にし今ではB級ライセンスまで所持し特務クラスの任務まで請け負うようになり、世間からの扱いはかなり優遇されていると言っていいだろう。 ライセンス試験に合格すると、第三ホームかシンジュクバベルのどちらかの居住区に部屋を支給されるのだが、亮はこの時第三ホームを選択し、支給された部屋の鍵を生まれ育った施設にポンと提供してしまった。 居住区に住むという事がどれだけ大変な事なのか、ライセンス取得まで亮が住んでいたのはいわゆるスラム街だったのでピクシーはよく知っていた。暴力盗み殺しなどが共同体の目をかすめてよく行われているような危険区域で当時の亮は夜の外出を控えていたりと自己防衛をしていたのを覚えているからだ。 DB養成所に通う人間というだけで犯罪者から目をつけられる事もあるし、実際襲われる生徒も多々いた。そのため、養成所に通う人間は比較的に恵まれた環境で育った者が多く、それもまた犯罪者から見ると美味しい餌だったといえよう。
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