何よりの…

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今日もこんなウエノの荒野でざくざくと掘り物に勤しんでいるのも、ご近所さんの壊れた家電を直すためパーツを探しすためだ。 ピクシーから見ると、連続していた任務がやっと終わって暫く休みだというのにちっとも休もうとしない亮が心配でならない。 その時、亮の動きがぴたりと停止して動かなくなっているのを確認した。 何かあったのかと慌てて飛んで行くと、神妙な顔をして首をかしげているのだった。 「ねぇ…どうしたの?すっごい変な顔してるよ…?」 「いやさ…この辺り掘ってるとやたら出てきたんだよねぇ~このおかしな箱が…何だろうなーと思ってねぇ~」 指された先にあったのは、白に近いグレーの少し丸みを帯びた箱である。 「何…これ…なんか丸いねぇ~角っこが」 「でしょー?しかも、こっちが上なんだろうけど、真ん中に穴が開いてて、蓋がついてるんだよね~パタパタ音がしてちょっと面白い。」 「わー!何これ!おもしろーい!」 体の小さなピクシーは両手で体重をかけて蓋を押して、手を離してその蓋が戻るのを楽しんだ。 ふと、蓋を開けたその奥にあるものに気づく。 「これ…奥に何かあるよー?」 「うん、さっき見た~ほんと…なんだろう、これ…」 首をかしげる一人と一体、その時周りにはピクシーの羽音しかしていない。 妙な沈黙が流れてしまう。 「しかも、これさ…やたらと出てきたんだよね~量産品っぽいんだけど…何するもんだろう…」 「この辺りの昔を思ったら、家電品とか、電化製品ってことだよねぇ~?」 ウエノフィールドはある程度腕に自信がないとなかなか入れないところであり、あまり荒らされていないので、見たこともない物をよく拾う。 こういった物をジャンク屋や山羊屋に売るとかなりいい値で買ってくれるので、ちょっとしたお小遣い稼ぎにもなるのだ。 「中身を分解したら何かに使えるパーツとかあるかもだし、持って帰ろう~そんで誰かに聞く!」 「よし!そーしよう!シャワー浴びよう!」 「目的、そこでしょう…」 「もっちろん!羽に砂が当たってきちゃないんだもーん」 「ごめんごめん~そうね、これも少し表面磨いてみるかぁ~」
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