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俺はそのショートヘアーの女子に声を掛けた。
「よお、どうした、忘れ物か?」
すると女子はムッとした表情になり。
「違うわよ。アンタと裕二君を待っていたのよ。」
残念だが裕二は用事があって先に帰ったぜ部長殿。
「へぇーそうなの?じゃあ帰ろ。」
と由香は学校前の道を早歩きで歩き始めた。
そして、私鉄の列車に乗っていると由香が唐突に話してきた。
「どう?バンド」
俺は立ったまま睡魔と戦闘中なのでテキトーに答えることにした。
「ボチボチかな。」
「ふーん、それでさボーカルの女子足らないんでしょ?」
「ああ…そうなんだよなあ…田口が俺達に押し付けてよ……。」
俺はハッと重いまぶたを無理矢理開き、隣に立っている由香に顔を見た。
由香も俺の顔を見てた。
「なんでお前が知ってる!?これは俺と裕二と田口しか知らないはずだ、たとえ裕二が話している訳がないし第一、裕二は先に帰ってお前と会ってはずだ。信じたくないが、まさか俺の心の中を見たのか?
「馬鹿じゃないの。」と由香は軽蔑的な目で俺を見た。
「違うわよ、アタイがアンタ達の部室に行ったの。」
だがお前、部室に入ってねえだろ?
「…まさかドアに耳あてて盗み聞きでもしていたのか?」「そうよ」
由香はスラっと答えた。
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