13人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
昔々
ある国に美しいお后さまがおりました。
王様を愛していましたが、子宝に恵まれません。
ある深々と雪の降る寒い日、一人窓際に座り刺繍を始めました。
子供が出来ますようにと
一針、一針、念を込めて縫っていたとき、針が指先に刺さりました。
あっ と思った時には、指先から朱い血が、流れでいました。
お后はしばらく眺めてから、ゆっくりそれを舐めとりました。
朱い血のように美しい唇、漆黒な闇のような髪、白い雪のように白い肌、そんな子供が欲しい
願いを込めながら縫い上げました。
しばらくして、お后は懐妊し玉のような姫君が、誕生しました。
王様は王子が望みでしたので、失望しました。
白雪と名ずけただけで、部屋から出て行き、しばらく逢にも来ませんでした。
お后は何故王子ではなかったのでしょう、と姫君を恨みました。
最初のコメントを投稿しよう!