苺のショートケーキ

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親父がいきなり「何か食べたいものはあるか?」って言った。 俺は不思議に思っていたんだが、妹はそんな俺にはお構いなしで大喜びだった。 案の定、苺のショートケーキが食べたいって言った。 親父は奮発して高いのを買ってやるって言ってた。 その日は本当に久しぶりにみんなが大笑いできた日だった。 病院の帰り、車の中で俺はさっき思っていたことを親父に聞いた。 「もう、普通の食事をしてもいいのか?ってことはよくなってるんだよな!?」 って嬉しくて大声で言った。 そしたら、親父は黙り込んだ。どういう訳か母さんも俯いてた。 さすがに俺も薄々感づいてた。 親父は言った。 「先生(医師)の話では、もう長くはないそうだ。」 そんな、本当にそんな素っ気ない言葉で俺は頭の中が真っ白になっていた。 妹の体は衰弱しきっていたらしい。 何のための苦しい手術だったんだ。 何のための長い入院生活だったんだ。 まだ何か言ってたけどあんまり覚えてない。母さんは横で泣いてた。 その時俺はどうして良いかわからなかった。 .
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