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西日が途絶えて、星が飛び出した夜。
城の回廊で男が二人、話ながら歩いていた。
「…あんな物がどうしてお前の部隊を動かす程のものなのだろうな?」
ケイオス将軍が回収された「果実」について言った。
「それは、王が決めた事ですから。
しかし、これには何か訳が有るのかもしれません。」
こう答えたもう一人の男は俺だ。
将軍は俺の父だ。
「コスモスが言うには、果実は食えないらしいが…。
一体何の使い道が有るんだろうな?」
将軍は果実を林檎の様なものだと思っているらしい。
それか食い意地が張っているのか。
「父上、果実は「爆弾」の名前ですよ?
母上が仰っていたでしょう?」
俺は将軍の大胆な余裕を刺して言った。
すると将軍は顔をしかめて言った。
「それは聞いたが、高が爆弾なのだ。息子よ。」
将軍が言いたい事は、高が知れた果実の話ではないと、そう言う事だ。
「…!
なるほど、すると果実と言うのは…。」
「うむ、そうだ。
果実はただの爆弾ではないのだ。
恐らくは、戦火の勢いを強める物なのだ。」
「火を制するには火を、と言う訳なのか。
血で血を洗うのと同じではないか…。」
俺はため息を吐いて俯いた。
そんな息子に父は同情した。
「…我々ルネイショの戦勢も、いつ傾くかも知れぬ。
お前も前戦に出て行かなければ成らない。」
「…?
父上、自分に前戦投入を控える采配をしたのは…。」
「息子よ。
…私はお前を見くびった訳ではない。むしろ、お前は私達の力を十分に受け継いだと思っている。」
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