1「火の中へ入る」

4/44
前へ
/44ページ
次へ
「…ならばどうして?」 「コスモス…、つまりお前の母と決めたのだ。 お前にはあらゆる陰の星が影響しているからな。 …お前に名を付けなかったのも理由はそこに在る。」 「それは昔から聞いています。 しかし、それとどう言う関係が?」 「…お前自身が戦う事を望まぬ限り、前戦には出さぬと…。 決め事はそう言う事だ。」 そうか、と俺は思って自身の努力が報われなかった訳を知って、父に感謝した。 「…母上に今から伝えて参ります。」 そう言って俺は将軍と別れ、回廊を抜けた突き当たりを右に行った。 走って行く息子の足音に目を細め、父はつぶやいた。 「やっと、私の方に似て来たな…。」 そして将軍が突き当たりを左に行くと、連絡係の兵に出くわした。 「ケイオス将軍!何やってたんですか!? 軍事会議に将軍が居なくちゃ成り立たないでしょう!?」 その言葉でケイオス将軍は「しまったっ!!」と叫んで、焦る事と成った。 「母上…、お話がございます…。」 俺は母の部屋のドアをノックして言った。 「お入りなさい。」 返事がしたので、俺はドアを開けて入室した。 俺が入ってくるのを確認し、我が母のコスモスは談話席に着いて俺に手招きした。 俺はソファに着いたが、しばらく気持ちを整理して黙っていた。 「何のお話か?ぼうや。」 俺の母は俺をぼうやと呼ぶ。 「母上はいつまで私をそう呼ぶのですか?」 ため息が言葉より先に出た。 何故か、呼ばれ方次第で自分の力量を測られた様な気に成る。  
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加