始まり

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あの後、運転手さんは私が乗り込んだのを確認してから車のドアを閉め、運転席に乗り込み車を発進させた。 その運転手さんの顔は笑顔だ。 現在進行形で。 かなり今更だが、運転手さんは美形だ。 しかも、爽やか系なんだけど男らしいさがあるから幅広く女性を魅了してるだろう。 でもだからってずっと笑顔だと気持ち悪い。 『あのー‥』 「なんですか??」 意を決して運転手さんに話しかけるとすぐ返事がかえってきた。 『‥なんでずっとニコニコしてるんですか?』 遠回しに言うのも面倒臭かったから、単刀直入にきいてみた。 運転手さんは、一瞬びっくりした顔をした後すごく申し訳なさそうな顔になった。 「仕事柄謝られるという事が少ないので、久しぶりにあんな真剣に謝られてすごく嬉しくてつい。すみません。」 何故か運転手さんに犬の耳と尻尾が見える。しかも垂れてるしっ!! なんでこんな可愛いんだよっ!! あぁ~っ抱き締めたいっ(※注・大の小動物好きです。 私はなんとか抱きつきたい衝動を抑えて前から気になっていた事をきいた。 『そんな謝らなくていいですよっ!こちらこそ変な事きいてすみませんでした。そーいえば、運転手さんは名前なんて言うんですか?』 私が話題を変えると、途端に元の笑顔に戻る運転手さん。 まぁかなり今更なんだけどねー。 運転手さんも元気になったみたいだし、いっか。 「そういえばまだ自己紹介してませんでしたね。私は兼崎龍矢(かねざきりゅうや)と申します。龍矢と呼んでください。」 最後にとびっきりの笑顔でこっちを見る。 あの‥今運転中だよ? いくら山の中だからってよそ見は危ないだろι 『龍矢‥さんですね?私は砂川零です。好きに呼んでください。』 一応自分の自己紹介もしといた。 きっと龍矢さんは知ってるだろうけど。 「はい。でわ零さんと呼ばせていただきますね。」 また素晴らしい笑顔がっ!! こんな平凡が見ていいのかな? なんかだんだん自分の価値が石っころに思えてきたわ。(※運転中のよそ見はやめましょう。 ─────…‥ どうやら龍矢さんと話している間に海帝学園に着いたらしい。 話している間と言っても3時間もかかっているが。 今私は学園の校舎の前にいる。 学園のデかい門をそのまま車で通り10分くらい走った所にある。 門から一本道とはいえ、歩いたら30分以上はかかるだろう。 どんだけ敷地広いんだよっ!!
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