序章 崩落

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今から、数日前のこと。 その日は生憎の曇り空だった。 積み重なった雲が雨を落とし、大地に潤いをもたらしていた。 王都ナイグルのほぼ裏側、グランツェルマの近くにある小さな漁港都市『カヤナイツ』。 生憎の雨で海が時化なので、漁師達は自分の船をしっかりと固定する作業を行っていた。 明日は晴れるって、天気予報じゃ言ってたよな。 ああ、海の具合からも晴れると思っていたよ。なのにすげー雨だ。 そんな、漁終わりに集まって会話する時のように話していた時だった。 「イテッ!……は?石?」 一人の漁師の頭に固い物が当たり、転がったそれを確かめる。 「石なんか……イテッ!また!?テッ!空から、降ってんのか?」 小さな石が、次々と落ちてきたのだ。 「おーい、石降ってきたか?」 どうやら自分だけでは、ないらしい。 「ああ!なんか危ない気がするから早く引き上げようぜ!」 石が落ちてくる量が段々と増えている。 皆が皆作業を終えて、普段集まっている港の小屋に漁師全員が避難した時だった。 ゴゴゴ……
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